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2009年2月24日 (火)

無声映画の底力(ネタバレ注意)

文化庁メディア芸術祭会場で、アニメ部門大賞「つみきのいえ」(2008年、作:加藤久仁生、制作:ROBOT)を観た。

本作は、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞グランプリ)を受賞、先日はアカデミー賞短編アニメーション賞も受賞している。

老人がひとり、塔のてっぺんで暮らしている。朝起きたら床上浸水。屋根の上に上り、周りにれんがを積み上げて屋根の上にまた1部屋新たに作って、そこで暮らすことになる。新しい部屋の床下は水中に沈んでいる。

実は海水面が徐々に上昇し、家が水に浸かったら屋根に新たに積み木のように家を作る、ということを繰り返しているのだ。

老人が愛用のパイプを床下から水中に落してしまい、それを拾うため海中ダイビングで昔住んでいて今は水中に沈んでいる家を次々と訪れる。それぞれの家にそれぞれの思い出が回想シーンで流れる。

海中に潜るとたくさんの塔が林立していて、すでに頂上が海面下に沈んでいる塔も多く描かれている。家人が全員亡くなったか、よそに転居したのだろうか。海面上にいまだ暮らしている家はぽつりぽつりとわずか。地球温暖化は生活の場を奪うだけでなく、メンタル面で人間を孤独にする、なんだか過疎問題にも通じるような気がした。

海底に建つ一番最初の家で老人がワイングラスを見つける。すでに亡くなった若き日の妻と食卓でワイングラスを鳴らす回想シーンに、老人がひとりグラスを傾けるシーンが続くところがクライマックス。

地球温暖化問題をこんな形でアートにできるとは、と思った。本作は無声映画だが、お話の筋がきちんと伝わってくる。ストーリーボードがしっかりしているんだろう。無声映画にもかかわらず、というより無声映画だからこそ作者のメッセージがよく伝わるように思った。無声映画の底力を感じた。

華々しい評価に違わず秀作。オタクも非オタクも(笑)ぜひ一度ご覧いただきたい。とはいうもののこういったアートアニメはどこで観れるのかが問題だ。(アートアニメと商業アニメhttp://gogo-japaneseanime.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/httpanimeanimej.html)タイトルにつけたネタバレ注意の意味がないかも・・・

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2009年2月14日 (土)

遡ることの難しさ

劇場版「装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズ」(2009年、監督:高橋良輔、制作:サンライズ)を観てきた。

100年も戦争が続く遠い未来宇宙。前線の戦闘は、アーマードトルーパー(AT)という二足歩行のロボット同士の接近戦。ギルガメス軍精鋭部隊レッドショルダーのひとり、キリコはもう4人とともに特別部隊に編入され、あまりにも過酷過ぎる作戦に次々と参加させられる。

80年代前半のTVアニメシリーズ「ボトムズ」は、サンライズ制作リアルロボットアニメの代表として隠れた人気を博した。その後OVAで続編「赫奕たる異端」が作られ、今回の「ペールゼン・ファイルズ」は前日譚、要するに第1話から遡ったOVA作品の映画化である。

ファースト「ボトムズ」(「ガンダム」と同じ要領でいくとこうなのかな)は、クールなヒーロー・キリコ、ATの重量感ある白熱したバトル、洗練されたジャズアレンジのBGM、1クールごとに戦場となる舞台が変わるアドベンチャー要素、パーフェクトソルジャー・フィアナやゴウト達との交流を通じて段々と人間らしさを取り戻していくキリコや、彼自身の隠された秘密が徐々に明らかになっていくところ、等がみどころ。

「ペールゼン」では、ファースト「ボトムズ」で主にひとりで戦っていたキリコが部隊を組んで戦う連係戦に注目。他の4人の兵士もひとくせもふたくせもある個性的な人間で、最初はぎくしゃくしていたが、最後は「俺達は同じだ」と結束を誓い合うところはなかなかGOOD。

大量のバララント軍ATとの大作戦シーンはみごたえあり。本作はメカはCGでATに重量感がなくなんだかおもちゃみたいで物足りないのだが、CGだからこそ実現できたシーンなんだろう。

物語は、ウオッカムとペールゼンのやりとりのシーンと戦闘シーンが並行して進む。なぜキリコ達が過酷な作戦に参加させられるのか、だんだんと明らかになってくる。ファースト「ボトムズ」(「異能者」のあたり)がよりよく分かるので、ファーストファンにとっては美味しいと思う。続編はともかく前日譚を作ってもきちんとストーリーがつながっているのは、最初の設定とシリーズ構成がよほどしっかりしてないと難しいと思うので、この点制作スタッフに拍手を送りたい。

あのロッチナがこんなところに出てきたのか、という発見があります。また、女性キャラクターが脇役ででもついにひとりも出てきませんので(笑)、ご了承を。

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