「オタク学入門」(新潮文庫版2008年、著:岡田斗司夫)を読んでみた。
岡田氏は「エヴァンゲリオン」を創ったGAINAXを設立、その後評論活動、東大でオタク学講座を主宰、オタク解説の専門家として知られる。最近は激ヤセに成功、著書「いつまでもデブと思うなよ」を発売し、非オタク界でも有名になった。
氏によるとオタクは、①進化した視覚能力を持つ、②高性能のレファレンス能力を持つ、③飽くなき向上心と自己顕示欲を持つ、とのこと。
それぞれに自分をあてはめてみた(笑)。
①「ボトムズ」を観ていた頃、その回の作画監督が誰かエンディングテロップが流れる前に分かったなあ。
②自分はアニメジャンル以外でもコミックは多少、SFはかじっている程度、ゲームと特撮はわからない。ジャンルをクロスオーバーして制作者の暗号を読み取るレファレンス能力はそんなになさそうだな。
③作品のスタッフには注目するし、解説書読むのは好きだし、ゆかりの地を訪れるのは好きだし、その作品に影響を与えたものを調べるのは好きだし(「幼年期の終わり」とか今西錦司「進化論」は読んだ)、同人誌も買うし、作品論を語るのは大好きだ(だからこんなブログを何年も続けている)。でも、クーラーを我慢してまでLDーBOXを買ったりはしない(笑)。社会人をやってると天文学的な経済的、知性的、特に時間的投資はなかなか難しい。本書でいうところのオタク道を究めるたゆまぬ努力と精進が足りなさそう。
単にアニメをよく観ているだけでは、真のオタクではなく、単なるマニアにすぎないそうだ。総合的にみて自分はマニアなのかな。
さて、最近岡田氏は脱オタキング宣言をした。氏の言うオタク道を究める真のオタクがいなくなってしまったことと関係があるらしい。その経緯は同時期に発売された著書「オタクはすでに死んでいる」にあるのだろう。
真のオタクがいなくなったのは、現代では手軽にオタク趣味を入手できるようになったことが大きい。
ビデオが家庭に普及(性能がほんとに良くなった、昔はトラッキング調整に苦労したなあ)、聞き逃したセリフ、あまりにも切り替わりが速くて見逃したシーンはすぐに再生、確認できるようになった。ハードディスク付きDVDレコーダーが出て、ビデオテープの頭出しの準備も不要になった。録画予約にたったこれっきりしかボタンを押す必要がないとわかった時は脱力したものだ。DVDメディアにダビングすれば、ほとんど市販DVDソフトと変わりない画質でオリジナルDVDを作成できる。インターネットでは、番組公式HPで情報をチェックできるし、もっと濃い情報は2ch掲示板にあふれている。ヤフー等ポータルサイトトップページにアニメ情報が載っていたりもする。
昔はビデオデッキなんてそうそう手に入らなかった。アニメ雑誌も数えるほどしかなく(しかも月1回で結構雑誌としては高額だった)、目を皿のようにして番組欄からアニメ関連ラジオ番組を探したものだ。
そんなオタクにとって情報入手困難時代だからこそ、「スターウォーズ」のセリフ、BGM、効果音をすべて暗記して口で再現できるような真性オタクが出てきたんだと思う。
ただ、時代が変わっても真性オタクは細々とながら出てくるし、絶滅はしないと思うけど・・・。その場合、氏の言うライトなオタク、時々オタクがいてくれないとやっぱり困るんじゃないかな。だって真性オタクの話を聞いてくれる人がいないとさびしいでしょ。誰もいない大海原に叫ぶっていうのは(笑)。
今でも「エヴァンゲリオン」が何のことかわからない人や、「デスノート」を実写映画しか知らない人は多い(特に女性には)。非オタクはやっぱり現代でもメジャーだ。「宮崎駿って若い頃は赤旗青年新聞に漫画を連載してたんだよ」「名探偵コナンと魔女宅のキキは同じ声優がやってるんだよ」と話して、「へえ~」と反応してくれる人が必要なんですよ。
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